Q:美味しいステーキの焼き方って?

ちょっと頑張って、最高のステーキ用の肉を買ってきた。
これを焼けば、最高に美味しいステーキを食べることが出来る。
きっと、多くの方が、そう思っていらっしゃるのではないでしょうか。
「フライパンで焼くだけじゃない?」、って思っていらっしゃいませんか?
確かに、一見、そう見えるほどにシンプルな料理です。
しかし、ことはそう簡単ではないのです。

なかには、ステーキは、最初に高温で派手にジュージューいわせながら焼いて、肉の外側をしっかり固めて、肉汁を閉じ込める焼き方が一番だと、信じ込んでいらっしゃる方が、結構沢山いらっしゃると聞きます。
でも、本当にそうなのでしょうか?

フライパンの表面から、煙がどんどん出ている状態、どこかおかしくないですか?
油から煙が立つ状態は、油がどんどん傷んでいるということです。
これで、お肉が美味しくなるでしょうか?

すでに皆さんご存知の通り、お肉に限らず、私たちがいただく食材は全て、自然の恵みです。
その食材が、どうしたら美味しくなるのか、ここが大切なポイントです。
「食材から教えてもらう」、これが正解です。
肉を、どうしたら美味しく焼けるか、これは肉側で決まっていることで、人間が決めることではありません。
人は、肉から教えてもらうしかないのです。
目をしっかり開けて、耳を澄ませて、鼻を聞かせて、体中の毛穴まで開いて、フライパンの温度と、フライパンから肉に伝えられる熱の量によって、肉がどう変化して行くかを、しっかりと観察しながら、肉から教えてもらいます。
調理は、食材を知ること、つまり自然の恵みを知ることから始まります。
ですから、調理は自然科学なのです。
昔から、人はこうやって、調理の方法を食材から学んできたのですね。
プロの料理人の場合でも、一流になればなるほど、「食材に向きあう姿勢」は謙虚です。

では基本からお話ししましょう。
まず、冷凍肉は完全に解凍し、冷蔵肉も必ずしっかりと常温に戻しましょう。
これは基本中の基本です。
冷蔵の肉を、いきなりフライパンで焼いたら「焦げ付きますし、肉の芯は冷たくて真っ赤なまま」で、大失敗で終わります。肉の芯まで火が入るまでの時間を考えたら、これは当然のことです。
温度差が大きすぎて、表面がちょうどよく焼けていても、火はまだお肉の芯に入りませんよね。

お肉を焼く道具も重要です。
「分厚い鉄板のフライパン」か「セラミックコーティング」のフライパンが一番です。
お肉に均一に熱が入ること、焼き色が綺麗につくことがそのポイントです。
お肉のサイズにあう大きさのフライパンを使うこと、これも上手に焼くポイントです。 
フライパンの平らな底がお肉がより大きければ、お肉を平におけます。 
これで、熱ムラがなく、均一に焼くことができます。 

ここから先は、焼き方ですが、あるプロ中のプロから教わった焼き方です。
自分でも何度もやってみましたが、この焼き方が、抜群に美味しかったので、教えられた通りに書きます。

肉の芯まで常温になったら、焼く直前にお塩と粗挽きの黒胡椒を、お肉の両面にたっぷりと振りかけます。
岩塩があったら更に良いですね。
フライパンを「弱火」でゆっくり温めます。
フライパンが温まったら、ステーキ用のお肉に付いてくる脂とバターをたっぷり入れます。
この時、火は必ず「弱火」です。
バターは絶対に焦がしてはいけません。
バターが全部溶けたら、お肉をフライパンに入れ弱火のままで焼き始めます。
絶対に、あせって強くしないで下さい。
そんなことをしたら、すべて台無しになってしまいます。
つまり、「焼く」という感覚ではないのです。
「お肉をやさしく温めてやる」といった感覚です。
フライパンの中の脂を、お肉にかけながらゆっくりと「温め」てやるのです。
お肉の厚さが2センチぐらいなら、両面とも、それぞれ4~5分ほどかけて充分温めます。
これが終了したら、一度、お肉をフライパンから網などに移し休ませます。
お分かりですよね、この休憩の間にお肉の「余熱」のお陰でお肉の芯まで熱がしっかりと入るのです。
美味しいステーキになる時間でもあります。
完全に芯に熱が入ったかどうかは、金串を刺してみて、金串が熱いかどうかで分かります。

最後にもう一度、休ませていたお肉をフライパンで焼きます。
表面の焼き色を、ここで完成させます。

これが、私があるプロから教わった、最高に美味しいステーキの焼き方です。

最後に一言。
どんなに美味しくても、ステーキばっかり食べるのは「ただの偏食」ですから、バランスのとれた食事をとることを忘れないようにお願いします。




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プロフィール

岡山晄生

Author:岡山晄生
--Okayama Akio----------
株式会社リバーライト代表
調理道具研究家・家庭料理アドバイザーとして講演・執筆活動なども行なっている。著書に『料理のきほん食の常識』(グラフ社)等


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