Q:野菜がシャッキシャキの野菜炒めって、どうしたら出来るの?

中華料理店で食べる「野菜炒め」は、野菜の芯まで火が通っているのに、野菜はシャッキシャキしている。
これは、やはり美味しいですね。
ところが、家で自分でつくる野菜炒めは、いつも野菜がクタッと柔らかくなってしまい、あのシャッキシャキ感が全くありません。
これでは、プロの野菜炒めと比べると、食感だけでなく、味も良くないように感じてしまいます。


これと同じ経験をなさったことがある方、きっと意外と多いのではないでしょうか。
火力が原因なのか、道具に問題があるのか、ひょっとして自分の腕が原因なのか、いろいろと思い悩みます。
そして、家では無理なんだ、という結論に至った方が多いのではないでしょうか。


でも、調理は自然科学です。
ちょっとした「理屈」が分かり、正しい調理器具を選んで、正しい温度で調理すれば、問題はカンタンに解決します。
使う道具も、目的にあったものを使うことが大切だということです。
使う道具、調理温度、熱量、調理時間など、意味が分かってくると、その他の炒め物調理にも応用が利くようになりますので、確実に調理の「腕」が上がります。 
料理のレベルが上がると、家庭の食卓の雰囲気が明らかに変わります。
食卓を囲む家族の表情が変わってきます。


野菜炒めはシンプルな料理です、しかし「たかが野菜炒め、されど野菜炒め」です。
炒め物調理のエッセンスが詰まっていると考えて下さい。


説明します。
大切なポイント①:正しい調理器具を使用し、適切な温度で調理することです。
そこで問題なのが、正しい道具とはなにかということです。
野菜炒めに最適な道具に求められることは、野菜に短時間で、たっぷりの熱を伝えることができることです。
鉄のフライパン・炒め鍋・中華鍋/セラミックコーティングのフライパン・炒め鍋・中華鍋がベストです。
同じ温度であれば、どの「フライパン」「炒め鍋」「中華鍋」でも同じだと考えていませんか? 
これが間違いの元です。
鍋の材質によって、食材に供給される熱の量が違うのです。
170~180℃の温度で、熱がたっぷりと野菜に供給されるのは「鉄」と「セラミック」です。
野菜に含まれている水分が外に出る前に、野菜の芯まで火を素早く通す、これが美味しい野菜炒めの最大のポイントなのです。
このことが、道具にこだわる理由です。
鉄とセラミックコーティングです。


ゆっくりと火を通していると、野菜の芯に火が入る前に、野菜に含まれる水分が外にでてくるので、野菜が柔らかくなって、シャキシャキ感は無くなってしまいます。


大切なポイント②:正確な温度(170~180℃)で調理することです。 
目で見て、焦げ目の色が「こんがりキツネ色」となる温度、これが(170~180度)ということです。 
温まった鍋に油を入れ、油も温まったら、そこにネギの切れ端を入れて軽く炒めた時、ネギの表面がキツネ色になったら、(170~180度)ということです。 
この時、鍋に手をかざして、この温度を手で感じ、しっかりと覚えて下さい。 
鍋と油の温度を、目で見る、耳で聞く、手をかざして感じる、これは人間が持っている最も優れた一生使えるセンサーです。 
料理上手の人は、このようにして自分のセンサーを磨いて行くのですね。 
一生の財産ですので、1~2回の失敗を恐れず、是非自分のものにして」下さい。 
なお、ガスの火力を全開だとか強火にしたままだと、調理中に鍋の温度はすぐに300℃を超えてしまいますので、正しい温度を保つよう、ご自分で火加減することをくれぐれも忘れないでください。

ではいよいよ、本当に美味しい野菜炒めの「炒め方」についてご説明します。
●最初に鉄またはセラミックの「中華鍋」または「炒め鍋」を十分に温めます。(175度から180度)
●中華お玉1杯分の油をお鍋に入れ、お鍋を回して油を鍋肌全体によく馴染ませます。 そして油をオイルポットに戻します。ご家庭ではこの「油ならし」作業をしない方が多いのですが、実はそれだけですでに失格と言われてしまうほど重要な作業です。
「油ならし」を行うことで、焦げ付き原因のひとつがなくなります。
●改めて3カップほどの油をお鍋に入れ、約130~140度になるまで温めます。 
長ネギの切れ端を油に入れると、ネギから小さな泡がプクプク出る、これが最初の温度チェックの目安です。 
このままにしておくと、ネギが油の中でくるくる回り出しますが、これは油の温度が150~160度になったというサインです。
●ここで、キャベツ、チンゲンサイ、人参、たけのこ、生しいたけなど、火を通すことで野菜本来の味が出てくる野菜を鍋に入れ、ざっと10秒ほど油をくぐらせたら、野菜をザルに上げます。
この作業は中華料理ではよく行いますが、「油通し」という作業です。 
旨みを封じ込めたり、旨みを引き出すために行います。
油通しが終わったら、油は全部オイルポットに戻します。
●次に、鍋を火の上に戻して、温度が180度になるまで温めます。
鍋肌には充分油が残っていますが足りないときは少し油を足します。
今度は、柔らかい葉、薬味の役割を果たす「ねぎ」「ニンニク」「生姜」などを入れ、約5秒ほど炒めた後、先ほど油通しした野菜を鍋に加え入れ、『塩、胡椒、お酒』でお好みの味をつけます。
数回混ぜて、「水溶き片栗粉」少々、胡麻油少々を回しかけて、鍋を振って全体になじませたら完成です。

私の自宅で毎月、すでに約30年間にわたって有名な中国人料理人の元で修業された中華料理の先生が来て「出張料理教室」を行っていますが、この手順、この温度、この調理時間は、全く狂うことがありません。
今は、我が家でもこの通りに行っています。


野菜炒め好きの皆さん、どうぞお試し下さい。

Q:美味しいステーキの焼き方って?

ちょっと頑張って、最高のステーキ用の肉を買ってきた。
これを焼けば、最高に美味しいステーキを食べることが出来る。
きっと、多くの方が、そう思っていらっしゃるのではないでしょうか。
「フライパンで焼くだけじゃない?」、って思っていらっしゃいませんか?
確かに、一見、そう見えるほどにシンプルな料理です。
しかし、ことはそう簡単ではないのです。

なかには、ステーキは、最初に高温で派手にジュージューいわせながら焼いて、肉の外側をしっかり固めて、肉汁を閉じ込める焼き方が一番だと、信じ込んでいらっしゃる方が、結構沢山いらっしゃると聞きます。
でも、本当にそうなのでしょうか?

フライパンの表面から、煙がどんどん出ている状態、どこかおかしくないですか?
油から煙が立つ状態は、油がどんどん傷んでいるということです。
これで、お肉が美味しくなるでしょうか?

すでに皆さんご存知の通り、お肉に限らず、私たちがいただく食材は全て、自然の恵みです。
その食材が、どうしたら美味しくなるのか、ここが大切なポイントです。
「食材から教えてもらう」、これが正解です。
肉を、どうしたら美味しく焼けるか、これは肉側で決まっていることで、人間が決めることではありません。
人は、肉から教えてもらうしかないのです。
目をしっかり開けて、耳を澄ませて、鼻を聞かせて、体中の毛穴まで開いて、フライパンの温度と、フライパンから肉に伝えられる熱の量によって、肉がどう変化して行くかを、しっかりと観察しながら、肉から教えてもらいます。
調理は、食材を知ること、つまり自然の恵みを知ることから始まります。
ですから、調理は自然科学なのです。
昔から、人はこうやって、調理の方法を食材から学んできたのですね。
プロの料理人の場合でも、一流になればなるほど、「食材に向きあう姿勢」は謙虚です。

では基本からお話ししましょう。
まず、冷凍肉は完全に解凍し、冷蔵肉も必ずしっかりと常温に戻しましょう。
これは基本中の基本です。
冷蔵の肉を、いきなりフライパンで焼いたら「焦げ付きますし、肉の芯は冷たくて真っ赤なまま」で、大失敗で終わります。肉の芯まで火が入るまでの時間を考えたら、これは当然のことです。
温度差が大きすぎて、表面がちょうどよく焼けていても、火はまだお肉の芯に入りませんよね。

お肉を焼く道具も重要です。
「分厚い鉄板のフライパン」か「セラミックコーティング」のフライパンが一番です。
お肉に均一に熱が入ること、焼き色が綺麗につくことがそのポイントです。
お肉のサイズにあう大きさのフライパンを使うこと、これも上手に焼くポイントです。 
フライパンの平らな底がお肉がより大きければ、お肉を平におけます。 
これで、熱ムラがなく、均一に焼くことができます。 

ここから先は、焼き方ですが、あるプロ中のプロから教わった焼き方です。
自分でも何度もやってみましたが、この焼き方が、抜群に美味しかったので、教えられた通りに書きます。

肉の芯まで常温になったら、焼く直前にお塩と粗挽きの黒胡椒を、お肉の両面にたっぷりと振りかけます。
岩塩があったら更に良いですね。
フライパンを「弱火」でゆっくり温めます。
フライパンが温まったら、ステーキ用のお肉に付いてくる脂とバターをたっぷり入れます。
この時、火は必ず「弱火」です。
バターは絶対に焦がしてはいけません。
バターが全部溶けたら、お肉をフライパンに入れ弱火のままで焼き始めます。
絶対に、あせって強くしないで下さい。
そんなことをしたら、すべて台無しになってしまいます。
つまり、「焼く」という感覚ではないのです。
「お肉をやさしく温めてやる」といった感覚です。
フライパンの中の脂を、お肉にかけながらゆっくりと「温め」てやるのです。
お肉の厚さが2センチぐらいなら、両面とも、それぞれ4~5分ほどかけて充分温めます。
これが終了したら、一度、お肉をフライパンから網などに移し休ませます。
お分かりですよね、この休憩の間にお肉の「余熱」のお陰でお肉の芯まで熱がしっかりと入るのです。
美味しいステーキになる時間でもあります。
完全に芯に熱が入ったかどうかは、金串を刺してみて、金串が熱いかどうかで分かります。

最後にもう一度、休ませていたお肉をフライパンで焼きます。
表面の焼き色を、ここで完成させます。

これが、私があるプロから教わった、最高に美味しいステーキの焼き方です。

最後に一言。
どんなに美味しくても、ステーキばっかり食べるのは「ただの偏食」ですから、バランスのとれた食事をとることを忘れないようにお願いします。




プロフィール

岡山晄生

Author:岡山晄生
--Okayama Akio----------
株式会社リバーライト代表
調理道具研究家・家庭料理アドバイザーとして講演・執筆活動なども行なっている。著書に『料理のきほん食の常識』(グラフ社)等


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